
袋小路の奥に位置するこの敷地は、東側に水路と広大な緑地を望み、西側には住宅地が広がります。東西に異なるコンテクストを持つこの環境に調和する住まいの在り方を模索しました。
建物の長手方向に棟木を現し、その上に登り梁を掛け渡すことで、構造の成り立ちを可視化しています。長さ10mの棟木とそれを支える柱を家の中心に据えることで、この地に確かな「居場所」を作ろうと考えました。均等に架けた素朴な切妻屋根の下、空間は背景に広がる穏やかな風景や自然と呼応します。
東側には、水路と緑地の広がりを生かす大きな開口部を設け、豊かな自然を日常の風景へと取り込みました。一方、西側にはパノラマの窓を設え、通りに対して家族や来訪者を迎え入れる関係を作りました。構造材と同素材で仕上げた手すりやカウンターは、緑地に点在するベンチや柵の素朴な形を参照し、天井に現した化粧梁は、水路に架かる鉄骨梁の反復との関係によって、周辺の風景の文脈と繋がりを持ちます。
建築の在り方、構造の成り立ちを示す架構、意匠の積層を通じて、この場所の風景と繋がる確かな拠り所となる住まいを築くことを目指しました。

















