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実績

鶴見の家

2022年 / KANAGAWA

新築

旗竿敷地に計画した木造3階建ての二世帯住宅。敷地は周囲を平家や2,3階建の住宅に囲われているが、2階レベルでは特定の方向に視線が抜け、3階まで上がると南東方向に鶴見の起伏のある地形と街並みを一望できる。各層ごとに異なる体感が得られる環境である。
建物は4間角の1辺を偏心した台形の平面形をしている。外壁の1辺を偏心することで通りに顔を出す佇まいとなり、通りに顔を出した門型のポーチから人を建物内部に招き入れる。また、建物は旗竿敷地の旗の部分のほぼ中央に配置している。周囲に満遍なく空地を残し隣接する建物との間に十分な空きを確保することで、湿り気が感じられた敷地に風を導き、銀色の外壁に反射した光を拡散させその柔らかな光を室内へ取り込もうと考えた。
1階の親世帯の生活空間には、以前からご近所関係のある隣地の庭と一続きとなる形で庭を配置することでまとまった空地を形成し、安定した採光が得られる生活空間とした。子世帯の居住空間とサブの水回りを配置した2階では、袖壁で抱き込んだ彫りの深い窓を配置することで隣接する建物との見合いを避けながら、視線が抜ける特定の方向に対して大きく開いた。3階には2つの書斎とその書斎を通り抜けた先にライブラリーを配置し、外部の生活空間となるルーフバルコニーを設けた。南東方向に設けたパノラマの窓からは吹き抜け越しに鶴見の街並みを一望できる。
建物内部は3層を貫通する階段を家の中心に置き、その周りを絡うようにさまざまな生活空間と大小の吹き抜けを配置した構成となっている。階段の上下動や留まる場所が変わることで、視界に入る風景が巡る巡る変化する。階段や吹き抜け越しに家の中の生活風景と外に広がる街の風景が同時に重なり、家と街の内外を分け隔てなく感じることができる。子世帯夫妻は在宅で仕事をしており、日常の生活は住まいの2.3階で完結することになる。新たな職住の場として、この場所の特性を活かした変化に富んだ生活空間を計画した。
家全体の空間が緩やかにつながる計画のため、断熱気密処理と熱交換器によって安定した温熱環境を実現した。室内に生じる熱だまりを解消するため、季節毎に換気方向を反転できるファンと空気循環用のダクトを壁面に組込むことで家全体の温熱環境を均一にする工夫をしている。

DATA

所在地
神奈川県横浜市
完成
2022年
構造・用途
木造・戸建住宅
工事種別
新築
床面積
135㎡
設計・施工
古谷野工務店
受賞
西川公朗
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