株式会社古谷野工務店

蓮沼の家

2024 / TOKYO

新築

建物が密集する旗竿敷地に計画した戸建住宅。1階に寝室と水廻り、2階に主となる居住空間をコンパクトに配置した。階段を絡めたスリット状の吹き抜けによって上下階がつながる構成となっている。
周囲からの視線を避けるように配置した南面の高窓から室内へ光を取り込む。光は吹き抜けを通して1階まで届き、立体的な形状の階段と手摺りが光を受けることで陰影が生まれ空間に奥行きを作る。上下階をまたがるように配置したマホガニーの壁と吹き抜けに降り注ぐ光によってふたつの階をひとつの体験としてつなぐ。街への眺望が期待できない環境の中、光と陰影と素材の重なりによって、体験に奥行きを生むような背景を住まいの中に作ろうと考えた。
高窓の窓台や間接照明は、それぞれテーパーをかけ丸みを帯びた断面形状とすることで光を効果的に空間へと拡散する。それらの造作材によって既成寸法のサッシュのバランスを整えるなど、キッチンを含む室内の妻面のプロポーションも整えている。
建主が過去に照明機器の企画設計に携わっていたこともあり、光とその周りの形や素材が美しくあることを大切にした住まいとなった。