湾岸エリアに立地するマンションのリノベーション。周辺にはスケールの大きな建築群と空地、広い通りや運河などがあり、自然とゆとりがある雰囲気の環境である。
セキュリティ内の中庭を通り、ゆったりと作られた共用部を抜け、住戸にアクセスする。住戸を通り抜けると中庭に面した住戸の専有庭へ出入りができる。街から住戸へと巡る一連の流れとこのエリアの特有のスケール感が住戸内へと連続するよう留意した計画である。
計画は住戸を貫通するように玄関からリビングへと抜ける幅の広い廊下を設けた。廊下は共用廊下に近いスケール感とすることで、共有部と住戸内をシームレスな体感でつなぎたいと考えた。廊下は洗面や書斎など機能を兼ねると共に風と光を住戸全体に導く役割を持つ。キッチン・洗濯室・クローク・主寝室へと続くもう一方の裏動線を確保することで、広い住戸での生活のしやすさやにも配慮している。
マンゴーやプラタナスの突板、ブラッシングされたフローリング、大判タイルや石など、外部的なニュアンスのある素材と現しの躯体を組み合わせることで、それぞれの素材の力強さと上質さを兼ね備えた空間としている。
スケールの操作と特徴的な素材の組み合わせによって、一住戸の完結したインテリアとするのではなく、周辺の環境と一続きとなる住空間を計画した。
DATA
- 所在地
- 東京都江東区
- 完成
- 2022年
- 構造・用途
- RC造・共同住宅
- 工事種別
- 改修
- 床面積
- 102㎡
- 設計・施工
- 古谷野工務店
- 共同設計
- 古寺浩実
- 写真
- 西川公朗