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実績

世田谷のアトリエ

2024年 / TOKYO

店舗

北海道に拠点を持つ作家が、東京に第二の拠点を設けるため、築20年のRC造4階建ての建物を取得しました。建主は1階にギャラリーとアトリエを作り、2~4階は家族の生活に合わせた間取りの変更と設備の更新を望みました。
1階では、敷地の奥側にアトリエを、道路側にギャラリーを配置し、2枚の壁を新設しました。ギャラリーの長辺の壁が通りからの視線を敷地の奥へと導き、アトリエの短辺の壁が視線を受け止めます。この2枚の直行する壁により、中庭を挟んだ二つの空間を一つの場としてまとめました。
ギャラリーの床はコンクリートを研ぎ出し、光沢と滑らかな質感を持つ仕上げとしました。南からの光が床面に反射し、空間は柔らかな光で満たされます。床の骨材の不規則な模様、シルキーオークの棚板の杢目、小幅板の壁面が空間にリズムを生み出します。各素材の特徴を活かした簡素な構成とディテールが、建主のものづくりに対する姿勢に通じる合理性を表しています。
2~4階の居住空間の壁面には、既存のコンクリートのモデュールに合わせたて3×6板の合板を使用。曲線を描く階段の近くにはアーチ状の開口を設け、既存の建物との親和性を持たせた素材と形を採用することで、新旧の要素が自律しつつ共存する空間を実現しました。
建物の構成上、家族が集まる空間は10畳程のワンルームとなるため、キッチンを中心とした集いの場を設けました。既存の配管とレンジフードを残す条件のもと、冷蔵庫、食洗機、オーブン、食器棚を内蔵したフルスペックのキッチンを造作しました。機能的なレイアウトとは言い難いが、家族は作る・食べる・片づけるという工程を工夫しながら楽しんでおり、外食よりも家での食事の方が楽しいと好評を得ています。
この計画は、既存建物の持つ特徴的な構成を活かし、外部空間と一体となった職住一体の生活の場を創り出したものです。

DATA

所在地
東京都世田谷区
完成
2024年
構造・用途
RC造・店舗併用住宅
工事種別
改修
床面積
115㎡
設計・施工
古谷野工務店
写真
西川公朗
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